日々の活動 Posted 2023.03.24

南西地域の防衛強化に対する抗議

内閣総理大臣 岸田文雄様

 

南西地域の防衛強化に対する抗議

 

2022年12月16日、「国家安全保障戦略」、「防衛力整備計画」、「国家防衛戦略」の三文書が閣議において決定されました。いずれも中国の軍備拡大を念頭に「有事」を想定した今後の日本の防衛体制強化のための計画が示されておりますが、このような場合、政府は懸念される「有事」を、まず外交努力によって回避することが第一の仕事であるのはご存知でしょうか。「ミサイルが飛んでくるかもしれないから、我々もミサイルで対抗する」ではなく、そのミサイルを飛ばさせないようにするのが政治です。

 国民が政府に望んでいるのは軍備増強ではなく、戦争に資金や生命を割かずに済むよう、いかに安定した国際関係を構築していくかです。これが平和憲法が訴える条文です。しかしこの度の安全保障関連三文書ではそのような期待は一切無視され、戦争という誰も望んでいないシナリオしか描かれていません。岸田首相としては威勢よく掲げたつもりかもしれませんが、これは日本政府が政治的に無能であるということを内外に向けて自ら声明したに等しく、大変恥ずかしい宣言であるということをまずはご自覚ください。

 また政府が想定している戦地が「南西地域」であることについても強い憤りを禁じえません。沖縄戦において強いられた深い傷の未だ癒えない島々を、再び戦場とすることを許容した一連の方針は、アジア・太平洋戦後史の文脈から考えても到底許されるものではありません。安全保障の名のもと既に多くの米軍基地・自衛隊基地が南西諸島に展開されています。それだけでも住民は恐怖しているのです。それが更に強化・拡大されることへの不安がどれほどのものなのか、分からないのであればせめて沖縄戦の歴史を学んでください。

 言うまでもなく、政府が想定している「有事」は、自然災害とは発生のメカニズムが全く異なるものです。「地理的に仕方がない」、「避けようがない」という理屈は成り立ちません。恒久平和の決意に立つ日本政府は、沖縄を二度と標的にさせないこと、また二度と戦地としないことを念頭に、軍事力に依らない指針を掲げそれを実行しなければならないのです。

嘗て日本は、沖縄を「本土」防衛のための捨て石とし、住民の命と暮らしを巻き添えにしながら島々を地獄と化しました。三文書に示された計画・戦略は、それを再び呼び覚ますものであることは明白であり決して容認出来るものではありません。安全保障関連三文書については閣議決定を取り消し、即刻これを撤回されるよう強く要望します。

以上
2023年1月4日
日本基督教団沖縄教区常置委員会
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